当院では自然分娩を推奨していますが、痛みへの不安が特に強い方や分娩の途中で我慢できないと思われる方には、硬膜外麻酔を併用したいわゆる無痛分娩を実施しています。分娩には自然分娩と計画分娩があり、自然な陣痛に合わせて無痛分娩する場合と、日時を前もって決めて陣痛を起こし計画的に無痛分娩する場合があります。下の表のようにそれぞれ長所と短所があり、一般にご自身に合った方法を選択されています。ただし、経産婦は分娩進行が早いので陣痛来てから来院し麻酔を始めても間に合わないことも多く計画分娩を勧めており8−9割の方が入院当日に出産されています。一方、初産婦の計画無痛分娩は、お産までに3日以上かかることも多くお産自体がスムーズではないため自然陣痛が来てから麻酔する方がお産が円滑に進みやすく合理的です。従って当院では、経産婦は計画分娩、初産婦は自然陣発を基本とします。
無痛分娩と言われていますが、実際は痛みを完全に無くすようには致しません。和痛分娩とも言いますが、8~9割位の痛みを取るようにして、1~2割ぐらいの痛みは残る程度にするのが理想的な方法となります。痛みを取る程度は使う薬の量の調整で決まるので、手術ができる程に痛みを完全に無くすようにすることも可能ですが、麻酔状態となり足が動かなくなる上にお産をするのに重要な「きばる」という力を込めることが充分にできなくなるので、分娩進行が滞りやすく望ましくありません。 8~9割程度まで痛みを取り除くようにすれば、痛くて辛いと思われる方もほとんどおられませんし、力を込めてきばることもしっかりできるのでお産をするのにちょうど良いと考えられています。
多くの方が無痛分娩を受けるかについて迷われていますが、とりわけお産が初めてである初産婦が迷われている状況が多く見受けられます。一般的に日本の妊婦様で麻酔を必要とされる方は、3人に1人という意見が主流です。3人に2人の方は麻酔なくとも陣痛を無事に乗り切られ出産に至ります。従って初めての出産の方にはまずは自然分娩をトライして頂き、経過中困難であると思われたら無痛分娩に切り替えることをお勧めしています。当院の無痛分娩は随時申込可能、キャンセル料不要、つまり陣痛を実際に体感し耐えられそうかを考えてから申し込むことができるため、過不足のない最も患者様に寄り添った方式であると考えております。一方、分娩を一度でも経験された上で無痛分娩を希望される経産婦の方には、計画無痛分娩を提供させて頂きます。経産婦の出産経過は早いので陣痛が来てから麻酔をすると間に合わないことが多くあることから、確実に無痛分娩を受けていただくために計画的に入院して陣痛を起こしながら麻酔を実施します。